映画のはなし
医師の今永です。暖かい日もあれば寒い日もあったりで、なんだか落ち着かない気候ですね。でも桜が楽しみです。
今回は、医療ネタからは若干遠ざかり、私の趣味のひとつでもある映画鑑賞について書きたいと思います。映画は好きなのですが、なかなか劇場でみられるないことも多く、配信で鑑賞することも多いです。そんななか、今回紹介する2つの作品は「映画館でみたい」と思い、映画館で鑑賞しました。やっぱり映画館はいいですよね。
医療ネタから遠ざかりと言いつつ、この2つの映画は医療や介護、人の命について考えさせられる映画です。診療所のブログに書くので、やはり医療・介護に関連したものを紹介したいと思います。(普段はホラーからコメディまで雑多にみております)
★『PLAN75』(2022年公開)
以下、映画のホームページから抜粋です。
“少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度<プラン75>が国会で可決・施行された。様々な物議を醸していたが、超高齢化問題の解決策として、世間はすっかり受け入れムードとなる
当事者である高齢者はこの制度をどう受けとめるのか?若い世代は?<プラン75>という架空の制度を媒介に、人は何を選択し、どう生きていくのかを問いかける作品が誕生した。早川監督は、「2000年代半ば以降、日本では自己責任という言葉が幅をきかせるようになり、社会的に弱い立場の人を叩く社会の空気が徐々に広がっていったように思います。そして2016年、障害者施設殺傷事件が起こりました。人の命を生産性で語り、社会の役に立たない人間は生きている価値がないとする考え方は、すでに社会に蔓延しており、この事件の犯人特有のものではないと感じました。政治家や著名人による差別的な発言も相次いで問題になっていましたし、人々の不寛容がこのまま加速していけば、<プラン75>のような制度は生まれ得るのではないかという危機感がありました」と振り返り、「そんな未来は迎えたくないという想いが、この映画を作る原動力となりました」と制作意図を明かす。”
いかがですか?なかなか重そうなテーマですね。出演者は倍賞美津子、磯村勇斗、河合優美らです。
★『ロストケア』(2023年公開)
以下、映画のホームページから抜粋です。
“早朝の民家で老人と訪問介護センターの所長の死体が発見された。捜査線上に浮かんだのは、センターで働く斯波宗典(松山ケンイチ)。だが、彼は介護家族に慕われる献身的な介護士だった。検事の大友秀美(長澤まさみ)は、斯波が勤めるその訪問介護センターが世話している老人の死亡率が異常に高く、彼が働き始めてからの自宅での死者が40人を超えることを突き止めた。真実を明らかにするため、斯波と対峙する大友。すると斯波は、自分がしたことは『殺人』ではなく、『救い』だと主張した。その告白に戸惑う大友。彼は何故多くの老人を殺めたのか?そして彼が言う『救い』の真意とは何なのか? 被害者の家族を調査するうちに、社会的なサポートでは賄いきれない、介護家族の厳しい現実を知る大友。そして彼女は、法の正義のもと斯波の信念と向き合っていく。”
これまた、重そうな内容です。出演者は松山ケンイチ、長澤まさみ、柄本明らです。
ネタバレにならない程度に私の感じたことを述べます。ともに(映画なので)極端な描写とはなっていますが、現実的な内容です。医療や介護の現状や未来を的確に描いていると感じました。人間の価値や尊厳とは何なのか?生きていることそのものに価値はあるのか? 生きていくなかで人と関わるとは? 2つともそんな根本的な問いをつきつけてくるような映画でした。
もし、興味がある方は観てみてください。ただし、(どっぷり感情に訴えてくる映画なので)心身に少し余裕があるときがよいかもしれません(笑)