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「多疾患併存」って何?~かかりつけ医の必要性~

[2024.04.24]

医療者の間では、最近「多疾患併存」という言葉がよく聞かれるようになっています。しかし、まだまだ耳慣れない言葉かと思います。

「多疾患併存」とは複数の慢性疾患をもつことです。

高齢化に伴って慢性的な病気を複数持つ方が増えるようになっており、医療者の中では、そのことに対してどのように対処していけばよいのかが問題となっています。

どのような問題があるのでしょうか。架空の患者さんを例に説明していきたいと思います。

<79歳男性 Aさん 蓮田市在住>

Aさんは糖尿病と不整脈で東京のB病院の内科に通院しています。B病院はAさんが以前働いていた職場に近く、20年来通院しています。退職後も馴染みのB病院で糖尿病や不整脈は診てもらっていました。Aさんは、他に前立腺肥大という病気で近所のC病院の泌尿器科に通院しています。もともと尿が近くなって泌尿器科を受診して診断されたのですが、現在は薬で症状が落ち着いています。また、最近になって腰が痛くなって近所の整形外科(Dクリニック)を受診したところ、変形性腰椎症と診断され痛み止めが処方されました。痛み止めを飲み始めてから足がむくむようになり、B病院の内科を受診したときに相談したところむくみをとる薬が処方になりました。

Aさんの悩み・・・3つの医療機関から合計10種類の薬が出されており、もう少し薬が減らないものかなと思っている。最近は腰も痛いのでB病院まで通院するのも大変になっている。3つの医療機関に通院しなくてはならず、待ち時間も長いし趣味にかけたい時間が取られる。

このように慢性的な病気が複数あると、通院する医療機関が多くなり大変であったり、薬も増えてしまったりします。しかも、Aさんのことをトータルで把握して診る医師がいないため、不必要な薬も処方されています。実はむくみはDクリニックから処方された痛み止めの副作用なのですが、それに対してB病院からむくみをとる薬が出されています。Aさんが受けている医療をトータルで把握している医師がいれば、このようなことにはならなかったかもしれませんね。

これらのAさんの問題を解決する手段はあるでしょうか。1つの方法として、かかりつけ医(健康に関することを何でも相談でき、必要な時は専門の医療機関を紹介してくれる身近な医師)をもってAさんの状態をトータルで把握してもらうことかなと思います。下記にその後の架空のストーリーを記載します。

<Aさんのその後>

Aさんは、B病院から近所のE診療所に紹介状を書いてもらい、そこに通院することにしました。近所なので通院も楽ですし、病院ほど待ち時間もありません。飲んでいる薬の確認があり、整形外科からもらっている薬がむくみを起こしやすいため、整形外科で相談するようアドバイスを受けました。その結果、整形外科では違う薬に変更となり、むくみもなくなったためにむくみの薬は中止することができました。また、Aさんが薬を減らしたい希望を伝えたところ、優先順位が低い薬が中止となりました。前立腺肥大の薬も出してもらえないかE診療所で相談したところ、泌尿器科医師の承諾があればよいとのことでした。泌尿器科の医師に相談したところ、症状も落ち着いているので同じ薬をE診療所で出してもらうのでよいとの返事で、紹介状を書いてもらい、E診療所で処方を受けることになりました。

このように、ご年齢に伴って複数の病気が出てくることがあります。それぞれの病気の専門の医師に診てもらうメリットも当然ありますが、Aさんのように通院が大変となったり、薬が増えたりしてくると治療に伴う負担が増える場合もあります。そのような場合には「かかりつけ医」をもって、いろいろなことを相談できるようにするとよいかもしれませんね。

                                                    文責:今永

                                     

 

 

 

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