サプリメントについて
今回は、サプリメントについて書いていきたいと思います。最近は、小林製薬のサプリメントによる健康被害も報道されており、今一度サプリメントについて考えるよい機会かと思います。
サプリメントとは、「特定成分が濃縮された錠剤・カプセル状・顆粒状等の製品」を一般的には指します。サプリメントは健康食品の1カテゴリーであり、健康食品(サプリメントを含む)は、健康の維持・増進を目的とした食品を指します。
下記は厚生労働省のホームページから抜粋した図になります。
まず、健康食品やサプリメントと言われているものは医薬品とは異なるわけですね。これは大事なポイントになります。医薬品は承認されるまでに様々なプロセスがあり、効果や安全性について検証が十分になされます。(それでも実際に市場にでて思わぬ副作用がでるなんてこともありますが・・)
健康食品のなかで、最近よく耳にするのが保健機能食品というものです。「特定保健用食品(トクホ)」は消費者庁に申請し審査を受けて認知されたものです。ヒト試験を行っており保健機能食品の中では品質保証がある点では安心ですが、実際に患者さんにとって効果があるかについては不明な場合が多いです。「機能性表示食品」は特定の食品について製造事業者自身が研究を行って届出をして、食品機能について表示する制度です。こちらは届出内容の審査はなく、表示については事業者の自己責任となります。「栄養機能食品」は一定の栄養成分量を満たしている場合に表示できるもので届出は不要です。ちなみに小林製薬で問題となったサプリメントは機能性表示食品でした。
次に、実際にサプリメントの効果がどの程度立証されているのかについて考えてみたいと思います。
米国予防医学専門委員会(USPSTF)という予防医学に関して様々な推奨を出している組織があります。その米国予防医学専門委員会(USPSTF)は2022年に、様々な臨床試験を検証したうえで、妊娠していない成人において心血管疾患やがん予防を目的とする、βカロテンまたはビタミンEのサプリメントの摂取は「推奨しない」、マルチビタミンのサプリメントの摂取は「利益と害を評価するためのエビデンスが不十分である」と結論づけています。また、米国予防医学専門委員会は、2018年に「骨折予防目的でのビタミンD、Ca摂取を推奨しない」としています。ではサプリメントは有効性が乏しいものだけなのでしょうか。有効性が証明されており、米国予防医学専門委員会も摂取を推奨しているのは、妊娠前からの葉酸摂取です。胎児の脳や脊髄が正常に機能しなくなる神経管閉鎖障害の発症を低くすることが証明されています。
このようにサプリメントの効果や、また害がないかを考慮したうえで、摂取するかどうか決めていく必要があるかと思います。またその方の持病や肝臓や腎臓の機能によっては害が出る場合もあります。かかりつけの医師がいる場合には、サプリメントをはじめる前に相談することが大事でしょう。
文責:今永