家庭血圧の測り方
今回は家庭での血圧測定の仕方について書いてみたいと思います。
自宅で血圧を測っている方もいらっしゃると思います。白衣高血圧といって医療従事者の前で測ると血圧が高くなる方も多いですし、診察時のピンポイントでの血圧ではなく、普段どのような血圧の推移なのか知るために自宅での測定が重要と言われています。実際にどのようなタイミングで何に気をつけて測ればよいかなど説明していきたいと思います。
Q1.血圧計はなんでもいいですか?
手首に巻くタイプの血圧計はどうしでも値が不正確になりがちですので、これから血圧計を購入する人には上腕で測定するタイプの血圧計をおすすめします。
Q2.いつ測ればいいですか?
朝と夜の2回測ることが推奨されています。安静にしてから測ることが重要です。少なくとも座って1-2分の安静を保ってから測定しましょう。
朝・・・起床後1時間以内、排尿後で食前がベスト
夜・・・就寝前
Q3.続けて2回測ると値が随分違うのですが、大丈夫でしょうか?
血圧は測定するたびに値がかわります。原則として2回測ってすべてを記録しましょう。ちなみに1回目の方が高いことが多いです。
Q4.家庭血圧でどれくらいの血圧ならいいの?
家庭血圧では平均が135/85以上であると高血圧となります。診察室の血圧は平均で140/90以上で高血圧の診断です。どうしても診察時は血圧上がりやすいので家庭血圧の方が少し低いことが前提となっていますね。
それでは高血圧で治療中の方はどれくらいの血圧を目指せばいいのでしょうか? 高血圧治療ガイドライン2019年版をもとに下記の表にまとめてみました。(ガイドラインとは、病気の診断・治療などを医師向けに指針として示したものです)
診察室の血圧 | 家庭血圧 | |
75歳未満の成人 脳血管障害患者(脳や頸部の主要な血管が狭くなっていない) 狭心症や心筋梗塞の患者 慢性腎臓病の患者(蛋白尿が出ている) 糖尿病の患者 |
130/80未満が目標 | 125/75未満が目標 |
75歳以上の高齢者 脳血管障害患者(脳や頸部の主要な血管が狭くなっている) 慢性腎臓病の患者(蛋白尿が出ていない) |
140/90未満が目標 | 135/85未満が目標 |
このように、年齢や疾患によって目指す血圧の数値はかわるのです。高血圧で通院されている方は、主治医の先生とどのくらいの血圧を目指していくのかよく相談するのが大切ですね。
<おまけの話>
ガイドラインというのは定期的に見直されます。そのたびにガイドラインで示される血圧の目標値もかわったりします。ガイドラインはその時の最新の知見(患者さんを対象に行われた研究など)をもとに改訂されます。つまり、最新の知見というものもたびたびかわっていくということですね。血圧は下げすぎない方がよいという話になったり、できるだけ下げた方がよいという話になったり、また下げすぎないようにしたほうがよいとなったり・・・。つまり、医療の専門家の中でよいとされている基準も絶対ではないということでしょう。高血圧という非常にありふれた病気においてもいまだにわからないことが多いということです。このようなことを考えると、医療というのは不確実なものだなと個人的には感じます。だからこそ医療者と患者さんとの対話が重要なのでしょうね。
文責:今永